御嶽社(みたけしゃ)
御嶽社を説明するにあたり、まず「講」についてご紹介したいと思います。
江戸時代の農民の楽しみ「参拝旅行!?」
講とは、同一の信仰を持つ人々による集まりで、もとは「講義・講読」の講であるといわれています。
参加者は、おおかたその村に住まう一家の戸主で「講員」と呼ばれていました。
今とは異なり、電車も車もない時代ですから、大勢の講員が揃って遠くの寺社へ参拝することは、時間的にも金銭的にも不可能でした。
そんな中考えられたものが「代参講」です。
講員の中でくじ引きをし、参拝の代参者を決め、少人数にて参拝の旅に出るという風習で、講員それぞれが一定額を出し合い積み立てた講金をその経費にあてるというものです。
代参者は社寺からいただいてきた御札を村の講員に配布し、それによって全員が直接参拝することと同様の加護が与えられると信じられていました。
代参講というカタチで旅に出ることは、その当時の人たちにとって楽しみであったといえます。きっとドキドキしながらくじを引いていたことでしょう∑d(゚∀゚d)
現在も残る「御嶽講」
その昔鹿手袋では多くの講があったそうです。
栃木県の榛名神社(榛名講)、神奈川県の大山阿夫利神社(大山講)、埼玉県の秩父 三峯神社(三峯講)、同じく埼玉県の与野一山神社(一山講)。
そして、東京都の武蔵御嶽神社(御嶽講)。
察しの良い方はお気づきかもしれませんが、この御嶽講が現在も残り、引き継がれているんです。
現在多くの講が休講になっていますが、御嶽講は昔と同様にくじを引き、代参者が御札をいただいてくるという風習が行われており、その御神札が祀られているのが、八幡社境内にある御嶽社です。
御嶽社にお参りする際は、現在もそんな風習が続けられていることを思い浮かべながらお参りください。
また、毎年12月中頃にはその年の恵みへの感謝を込めて「御嶽社団子くれ」という祭事が行われます。
どんなご利益があるの?
ちなみに、武蔵御嶽神社は、古くより盗難避け、魔除け、豊作の神として信仰されていますので、講さながら遠方に出かける前などに、旅先での無事、そしてその留守をお祈りするのもいいかもしれませんね(*'∀`*)